旦那様は社長 *②巻*


もっと自信を持つべきだった。

敬吾の想いにも、もちろんあたしの想いにも。


「あたし、自分に都合のいいようにしか考えてなかったね」

「……」

「だからもう、同じ過ちは繰り返さない」

「え……」


「この先、もしも悠河があたしの側を離れる時が来ても……思い出す。たくさん愛されたこと、たくさん幸せをもらったこと」

「……バカ」


悠河は優しく、ゆっくりとあたしの頬に指を滑らせる。


それがとても気持ちよくて、思わずその指を掴むと、柔らかく微笑んだ悠河が顔を近づけてきた。

唇に久しぶりに感じる甘くて柔らかい感触。


その心地よさに、全てを任せようと思った。


「……あたしからしようと思ったのに……キス」

「じゃあしろよ、今すぐ」

「……ッ!?」


両肩に置かれた悠河の腕が、どんどん重くなってくる。


だけど、あたしにさっきまでの勢いはなく、今は恥ずかしさが勝って実行に移せない。


ただ顔を赤くして俯くと、呆気なく悠河の手で持ち上げられた。


「覚えておけ」

「え?」