「……もう思ってるよ」
「え?」
「とっくに思ってる」
あたしはとてもいい恋に出逢った。
今のあたしも、過去の歴史も全てを認めてくれる素敵な人。
とても強くて男らしい。
本当は、心のどこかで引っ掛かっていたのかもしれない。
……敬吾のこと。
『言う必要がない』なんて思っておきながら、本当はただ、『言う勇気がなかった』だけ。
そんな弱いあたしを、悠河は広い心で包み込んでくれた。
こんなに器の大きい人、他にいるかな?
「悠河に出逢えてよかった」
「光姫」
「悠河を愛してよかった」
「……オレも」
次の瞬間、フワッとあたしの身体が浮かび上がった。
だってもう、してもいいでしょ?
「光…姫…ッ」
あたしからキス。
「恋を休んでよかった」
あなたに出逢うため。
今心からそう思えるから、敬吾とのことをこれから先思い出すことがあっても、きっとあたしは悲しくない。
今日の悠河の言葉も一緒に思い出せるから。
辛い記憶を幸せな思い出に変えてくれたあなたを──…
「幸せにしたい」
あなたがくれる幸せを、何倍にもして返したい。
悠河はそんなあたしの言葉に、少し目を細めて微笑みながら言ってくれた。
「今が一番幸せだ」

