旦那様は社長 *②巻*


「……もう思ってるよ」

「え?」

「とっくに思ってる」


あたしはとてもいい恋に出逢った。

今のあたしも、過去の歴史も全てを認めてくれる素敵な人。

とても強くて男らしい。


本当は、心のどこかで引っ掛かっていたのかもしれない。

……敬吾のこと。


『言う必要がない』なんて思っておきながら、本当はただ、『言う勇気がなかった』だけ。


そんな弱いあたしを、悠河は広い心で包み込んでくれた。

こんなに器の大きい人、他にいるかな?


「悠河に出逢えてよかった」

「光姫」

「悠河を愛してよかった」

「……オレも」


次の瞬間、フワッとあたしの身体が浮かび上がった。

だってもう、してもいいでしょ?


「光…姫…ッ」


あたしからキス。


「恋を休んでよかった」


あなたに出逢うため。

今心からそう思えるから、敬吾とのことをこれから先思い出すことがあっても、きっとあたしは悲しくない。


今日の悠河の言葉も一緒に思い出せるから。

辛い記憶を幸せな思い出に変えてくれたあなたを──…


「幸せにしたい」


あなたがくれる幸せを、何倍にもして返したい。


悠河はそんなあたしの言葉に、少し目を細めて微笑みながら言ってくれた。



「今が一番幸せだ」