「え……」
「何だよ」
「だって、妬いて……?」
「悪いか」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめた悠河が見えたけれど、すぐ胸に頭を押し付けられて見えなくなった。
どうしても顔が見たくて抵抗しようとすると、頭上から少し震えたような声が響いてきた。
「お前が、ただの男好きならよかったのに」
「悠河?」
「お前が、愛なんか知らない女ならよかったのに」
「……」
「お前が、もっと早く生まれていればよかったのに」
悠河の熱い吐息を頭に感じながら、切ない気持ちでいっぱいになった。
過去も今も未来も、全部自分一色に染めてしまいたい。
そう思えるのは、それだけ愛している証。
切ない心の中にポッと、まるで蛍のように暖かい小さな光が灯ったのを感じた。
「ごめんね、悠河。……ごめんなさい」
今のあたしには、こうして悠河の背中を包み込むことしかできそうもない。
小さな腕をいっぱいに広げて。
だけど、悠河を想う大きな心で。
好きだよ。
大好きだよ。
心の中で何度も繰り返されるこの言葉が、悠河の心にも伝わってほしい──…

