「悠河、好き」
「え?」
「好き…好き…大好き」
「光…姫……?」
「最初にこれだけは言っておきたくて。今のあたしには、悠河だけってこと」
悠河の手を取り、2人でベッドに座って言った。
「今からあたしが話すことは、全部過去のこと。……もう終わってることだから」
ギュッと手に力が入ったのが自分でも分かる。
そんな様子に気づいたのか、悠河がそっと優しくあたしの手を包み込んでくれた。
本当に不思議……。
悠河の温もりを感じるだけで、とても心が落ち着く。
あたしはこの手を、二度と放したくない。
この手は、いつだってあたしを幸せへと導いてくれるから。
「オレは、今のお前を信じる。だから安心して全部吐き出せ」
さっき泣いていた人の言葉とは思えない、男らしい悠河の姿がそこにあった。
その言葉で、あたしの中の躊躇いは一気に消え去ったような気がする。
もう一度顔を上げて悠河と見つめあった後、少しだけ微笑んで口を開いた。
「悠河の言う通り、確かに敬吾は……あたしの元婚約者だよ」
キュッと握りしめる悠河の手の力が強まったのを感じた。
不安が伝わってくる。
早くこの不安を取り去ってあげたい……
ただその一心で、敬吾とのことを全て打ち明けた。
出会い。
付き合ったキッカケ。
別れたキッカケ。
それが原因で本気で人を好きになれなくなったこと。
最近やっと別れの原因を知って、2人の間にわだかまりがなくなったこと。
敬吾にまつわることは、とにかく全て話した。
最後は涙混じりになってしまったけど、話し終わった後、悠河はフワッとあたしの身体を包み込んでくれた。

