可愛い光姫。
そんな光姫を抱きしめるだけじゃ足りなくて、キスをしたくなった。
「約束するよ。その代わり、お前も約束してくれ」
「え……何を?」
「他の男と、二人っきりで会ったりしないって」
光姫はとても驚いた顔をして、キュッとオレの両手に指を絡めた。
「悠河、まさか……」
光姫が何を言いたいのか分かる。
話すなら、今しかないと思った。
「知ってるんだ。お前と……佐倉の関係」
「えッ!?」
「アイツだろ?お前を捨てた……元婚約者」
光姫はすぐに目を逸らし、俯いてしまった。
悲しいことを思い出させてしまったのだろうか。
光姫にとっては、もしかするととても酷なことを聞いたのかもしれない。
だけど、それでもきちんと話を聞きたかった。
安心したかった。
光姫にとって、佐倉敬吾がもう過去の存在であることを。
何もやましいことがなければ、あの日オレが目撃したことも、全て話してくれるはずだ。
光姫の顔をゆっくり持ち上げ、しっかりと見つめて言った。
「光姫、頼むから話してくれ」
「……」
「頼むから。……もうオレ、限界なんだ」
「……ッ!?悠河!?」
何も語らない光姫にどんどん不安が募って、とうとう壊れた。
ツーッと、涙が頬を伝う。
「オレは……、お前を愛していてもいいのか?」
【悠河Side End】

