どれだけ悩ませてしまっていたんだろう。
オレのくだらない嫉妬のせいで。
「ごめんな」
散々振り回しておきながら、この一言しか言えなかった。
だけど、今は言葉よりも全身で伝えたい。
「光姫……ごめん」
何度も「光姫」と囁きながら、キスを繰り返した。
丁寧に、頭のてっぺんから手の甲まで。
それなのにどうしても唇にはできなくて、そのことが光姫を不安にさせた。
「どうしてちゃんとキスしてくれないの?」
「それは……」
「まだ怒っているの?」
「怒ってない」
「ウソッ!!怒ってるんでしょ!?だからちゃんとキス……してくれないんでしょ?」
「そうじゃない」
「あたし、不安だったんだから……。すごく悲しかったんだから……ッ」
今さら後悔したって遅いけど、光姫を苦しめてしまった自分を殴りたい。
大きな目を真っ赤にして「バカ」と言い続ける光姫を、オレは抱きしめることしかできなかった。
「ごめん」
「バカ。悠河の大バカッ!!」
「うん」
どんなにバカと言われても、腕の中の光姫がとても愛おしく思えるから不思議だ。
光姫の「バカ」が、「スキ」に聞こえてしまう。
「光姫……」
オレの中も、ある感情で溢れだしそうだった。
それはきっと、今オレが一番に伝えなきゃいけない想い。
光姫の涙に濡れた顔を両手でゆっくりと包み込み、優しく持ち上げて言った。
「愛してる」
「……え?」
「愛してるよ。世界中の誰よりも」

