旦那様は社長 *②巻*


今、どんな顔をしているの?

悠河の顔を確かめたくて、少し身体を浮かせようとしたら、グッと強い力で押し返された。


だけどさっきよりも大きく、トクントクンという胸の音が聞こえてくる。


「なるほど。溺愛ですね」


「ええ。……惚れこんでます」


思いがけない告白に、涙が零れそうになった。

『好きだ』とか『愛してる』と言われるよりも、ずっとずっと深くて意味がある言葉。


『これからもオレの側にいろ』


都合がいいかもしれないけど、あたしにそう言ってくれているような気がした。


『悠河…』


心の中で悠河の名前を呼びながら、その胸にもっと深く顔をうずめた。


温かい……

こんなに温かかったんだ…大好きな人の温もり。

毎日あんなに近くにいたのに、どうしてこの温もりを忘れてしまっていたんだろう。


こんなに落ち着ける、あたしだけの大切な場所。


「幸せですね。光姫さん」


目を閉じて鼓動を感じていると、いつの間にそこにいたのか、美海さんの声が聞こえた。