今、どんな顔をしているの?
悠河の顔を確かめたくて、少し身体を浮かせようとしたら、グッと強い力で押し返された。
だけどさっきよりも大きく、トクントクンという胸の音が聞こえてくる。
「なるほど。溺愛ですね」
「ええ。……惚れこんでます」
思いがけない告白に、涙が零れそうになった。
『好きだ』とか『愛してる』と言われるよりも、ずっとずっと深くて意味がある言葉。
『これからもオレの側にいろ』
都合がいいかもしれないけど、あたしにそう言ってくれているような気がした。
『悠河…』
心の中で悠河の名前を呼びながら、その胸にもっと深く顔をうずめた。
温かい……
こんなに温かかったんだ…大好きな人の温もり。
毎日あんなに近くにいたのに、どうしてこの温もりを忘れてしまっていたんだろう。
こんなに落ち着ける、あたしだけの大切な場所。
「幸せですね。光姫さん」
目を閉じて鼓動を感じていると、いつの間にそこにいたのか、美海さんの声が聞こえた。

