旦那様は社長 *②巻*


うそ……

最近ろくに口も聞いていない悠河が……こんな公の場で嫉妬?

自分の目を疑わずにはいられない。


「はは。すみません。やっぱり同族でしたか」


「ええ。ヤキモチやく天才ですから、うちの社長は」


一條社長と藤堂さんの会話が耳に入る度、身体がどんどん熱くなる。

いつものように、悠河が否定してくれることを期待したのに…。

見上げた悠河の顔も、あたしに負けないくらい赤かった。


「え…」


「見るな」


「顔…」


「黙れ」


恥ずかしそうに顔を背けて腕組みした悠河を、思わず抱き締めたくなった。


抱き締めたい……

今すぐに……


こんな感覚を持ったのはいつぶりだろう。

すっかり忘れかけていた、この感じ。


そうだ……

あたしたちは少し前まで、これが生活の中に当たり前にあったのに。


やっぱり、こんな2人がいい。

こんな2人に戻りたい。


「悠河」と言いかけた時、またも一條社長に先を越された。


「有栖川社長は、奥様のどんなところがお好きですか?」