同じように……?
こちらに駆け寄ってくるあのキレイな女性が、こんな風に足を踏みつけたりするの?
想像できないと思いながらも、あたしの目は自然と美海さんをとらえていた。
「ヤキモチやくと、美海は必ず甘くなります」
「あ、甘く?」
「ええ。子供みたいに頬を膨らませて、甘えてくれます」
奥様は足を踏みつけたりはしないらしい。
あたしとは違います…
一條社長…
「光姫さんも、今旦那様に甘えていいですよ?」
「え…ええっ!?」
「遠慮なくどうぞ?」
そう言われても、人前でそんなこと…。
一條社長は最後に耳許でコッソリ教えてくれた。
「コレ、ケンカした時なんて一番聞きますよ」
「えっ!?」
「……なんてね」
すごくびっくりした。
フッと笑った一條社長が、あたしたちの事情をこんな短時間で見破ってしまったのかと思った。
「一條社長。あまりうちの社長を妬かせないで下さい」
「おい!お前…」
「一條社長のように、うちの社長も奥様を溺愛していますから」
顔をあげると、優しく笑っている藤堂さんと、顔を赤くしている悠河の姿が目に入った。

