旦那様は社長 *②巻*


「ステキです」


「え?」


「そんな風に言ってもらえる奥様は、すごく幸せだと思います」


「…だといいんですけど」


「いつどんな時も“ただの男”にさせてしまうくらい、ステキな奥様なんですね」


一條社長は幸せそうに微笑みながら、コクンと頷いた。

これが仕事の席だからとか、そんな理由で夫婦円満を演じているわけじゃない。


本当に心の底から奥様を愛しているから、こんな優しい笑顔ができるんだ。

なんだか、少し妬けた。


悠河は、仕事の席になると必ず外の顔になってしまう。

そんな悠河を尊敬し、頼もしくも思っていたけれど、今日一條社長に会って思った。


仕事の仮面を脱ぎ捨てたくなるくらい、あたしに夢中になってほしい…って。


愛の量は計れないけど、ましてや他人と比べるなんてもっと意味がないけど、一條社長が奥様を想う気持ちに、今のあたしは到底及ばない。


それに……

あたしたちの関係は、今一番最悪な時。

ここ最近、一條社長のように“愛されてる”と実感できるようなことは、何もーー…