あたしと悠河はお互いを牽制するかのように火花を散らし、今にも昨日の続き勃発!?
と、なりそうなところだった。
「あの…有栖川夫妻ですよね?」
それを防いでくれたのは藤堂さんではなく、本日の主役。
名前を呼ばれて振り返ると、写真なんかよりずっとかっこいいその人が優しく微笑んでいた。
「これはこれは。ご挨拶が遅れまして…。今日はお招きに預かり光栄です」
コロッと外の顏に変わった悠河に唖然としながらも、自分の立場を思い出して笑顔を作った。
「はじめまして。有栖川光姫と申します」
「はじめまして。今日はゆっくり楽しんで行って下さいね」
「ありがとうございます」
奥様があたしと同い年だということは、旦那様はあたしの1つ年上。
悠河の1つ下…ということになる。
それなのにもう子供が2人いて、一番上のお子さんは5歳になるらしい。
この事実を藤堂さんから聞かされた時、あまりの若さで親になったことに驚いた。
と同時に、ものすごく尊敬した。
ハタチそこそこの、男なんて特に一番遊び盛りな年頃に、もうたった一人の人を見つけて、人生のパートナーに選んだんだから。

