旦那様は社長 *②巻*


あたしと悠河はお互いを牽制するかのように火花を散らし、今にも昨日の続き勃発!?

と、なりそうなところだった。


「あの…有栖川夫妻ですよね?」


それを防いでくれたのは藤堂さんではなく、本日の主役。

名前を呼ばれて振り返ると、写真なんかよりずっとかっこいいその人が優しく微笑んでいた。


「これはこれは。ご挨拶が遅れまして…。今日はお招きに預かり光栄です」


コロッと外の顏に変わった悠河に唖然としながらも、自分の立場を思い出して笑顔を作った。


「はじめまして。有栖川光姫と申します」


「はじめまして。今日はゆっくり楽しんで行って下さいね」


「ありがとうございます」


奥様があたしと同い年だということは、旦那様はあたしの1つ年上。

悠河の1つ下…ということになる。

それなのにもう子供が2人いて、一番上のお子さんは5歳になるらしい。


この事実を藤堂さんから聞かされた時、あまりの若さで親になったことに驚いた。

と同時に、ものすごく尊敬した。


ハタチそこそこの、男なんて特に一番遊び盛りな年頃に、もうたった一人の人を見つけて、人生のパートナーに選んだんだから。