旦那様は社長 *②巻*


「…話にならない。誰が『別れたい』なんて言ったんだ」


「じゃあっ…」


「別れたいのは、お前のほうだろう?」


「……え?」


その言葉の意味が分からなくて、思わず聞き返してしまった。

いつもなら、こうして座り込んだあたしに優しく手を差し伸べてくれるのに。

今日は立ったまま、静かに上からあたしを見下ろしている。


やっぱり、何かがおかしい。


「オレが何も知らないとでも思っているのか?」


「何の…こと…?」


「子供を生みたくない?それだって、オレと別れたいから邪魔になっただけなんじゃないか?」


「何…言って…」


「何だかんだ理由つけてオレのせいにして…。別れたいなら別れたいってハッキリ言えばいいだろうが!!」


この人は…誰だろう…?

今あたしに暴言をはいてるこの人は、悠河じゃない…。

悠河はそんなこと言わない…。


誰よりも自信家で、自惚れやで。

あたしが『別れたがっている』なんて、そんな幻想を抱くはずがない。


『お前はオレに惚れてんだろ?』

そんな自信に溢れてる人だよ…。