「…話にならない。誰が『別れたい』なんて言ったんだ」
「じゃあっ…」
「別れたいのは、お前のほうだろう?」
「……え?」
その言葉の意味が分からなくて、思わず聞き返してしまった。
いつもなら、こうして座り込んだあたしに優しく手を差し伸べてくれるのに。
今日は立ったまま、静かに上からあたしを見下ろしている。
やっぱり、何かがおかしい。
「オレが何も知らないとでも思っているのか?」
「何の…こと…?」
「子供を生みたくない?それだって、オレと別れたいから邪魔になっただけなんじゃないか?」
「何…言って…」
「何だかんだ理由つけてオレのせいにして…。別れたいなら別れたいってハッキリ言えばいいだろうが!!」
この人は…誰だろう…?
今あたしに暴言をはいてるこの人は、悠河じゃない…。
悠河はそんなこと言わない…。
誰よりも自信家で、自惚れやで。
あたしが『別れたがっている』なんて、そんな幻想を抱くはずがない。
『お前はオレに惚れてんだろ?』
そんな自信に溢れてる人だよ…。

