「明日のパーティーのことなら好きにしろと言ったはずだ」
「そのことじゃなくて……聞きたいことがあるの」
「何だ?」
怒ってる時はこうして口調までもが他人行儀になる悠河。
だけどここであたしが感情むき出しにものを言うと、開いた溝は益々塞がらなくなる。
あたしが冷静にならなきゃ。
「あの…最近何か…怒ってる…の?」
「仕事の話じゃないのなら家に帰ってからにしてくれ」
そう言うと悠河は、持っていた書類にハンコを押して椅子から立ち上がった。
「あっ、持っていきます」
「いい。慎也に頼む」
本人は無意識なのかもしれないけど、差し出した手を振り払われた瞬間、泣きそうになった。
「どうして…?」
涙を堪えるのに必死で声の震えは止められなくて。
そんなあたしに、悠河は困惑した表情を見せた。
「何…泣いてんだよ」
「だって…秘書の仕事でもあたしより藤堂さんなの?…もうあたしは…必要ないの…?」
「そんなこと誰が言ったんだ」
「そうとしか思えない!!」
とうとう自分の感情に負けて声を荒げてしまった。
こんな悠河は見たくない。
だけどーー…
「必要ないのは…オレの方じゃねーの?」

