旦那様は社長 *②巻*


「明日のパーティーのことなら好きにしろと言ったはずだ」


「そのことじゃなくて……聞きたいことがあるの」


「何だ?」


怒ってる時はこうして口調までもが他人行儀になる悠河。

だけどここであたしが感情むき出しにものを言うと、開いた溝は益々塞がらなくなる。

あたしが冷静にならなきゃ。


「あの…最近何か…怒ってる…の?」


「仕事の話じゃないのなら家に帰ってからにしてくれ」


そう言うと悠河は、持っていた書類にハンコを押して椅子から立ち上がった。


「あっ、持っていきます」

「いい。慎也に頼む」


本人は無意識なのかもしれないけど、差し出した手を振り払われた瞬間、泣きそうになった。


「どうして…?」


涙を堪えるのに必死で声の震えは止められなくて。

そんなあたしに、悠河は困惑した表情を見せた。


「何…泣いてんだよ」


「だって…秘書の仕事でもあたしより藤堂さんなの?…もうあたしは…必要ないの…?」


「そんなこと誰が言ったんだ」


「そうとしか思えない!!」


とうとう自分の感情に負けて声を荒げてしまった。

こんな悠河は見たくない。


だけどーー…


「必要ないのは…オレの方じゃねーの?」