「あたしが聞いて、悠河は答えてくれますか?」
「うーん……アイツも強情だからね。だけどぶつかり合うことも必要でしょ?」
「こんな険悪なケンカ、久しぶりなんです」
出来れば藤堂さんに仲介に入ってもらいたいなんて思ってる弱い自分がいる。
理由は分からないけど、何だかもの凄くイヤな予感がしてたまらない。
今までに感じたことがない悪い予感が。
押し黙ったあたしを少しの間見下ろして、何かを察したように藤堂さんが言葉を付け加えた。
「どうしても手に負えなくなったら言ってよ。いつでも応戦するから」
「……ありがとうございます」
やっぱり自分で何とかするしかないってことだよね。
藤堂さんが言った通り、これは夫婦の問題だし。
まずは自分たちで何とかしなきゃ、この先一生一緒に生きていくことなんてできない。
「あたし、社長室に戻ります」
『今は仕事中だ』とか言って相手にしてくれないかもしれないけど、それなら今晩にでも話せないか交渉してみよう。

