「だから安心した。アイツが本気になった女が光姫ちゃんで」
「どうしてですか?」
「アイツを愛してくれるから。金とか地位とか関係なく、アイツ自身を愛してくれる光姫ちゃんだから」
せっかく拭ったのに、また視界がボンヤリ滲んでくる。
藤堂さんは本当に悠河のこと、あたしが妬けちゃうくらい大切で。
あたしと意味は違うけど愛してくれてる。
周囲に認められるより、同じように心から悠河を愛してくれている人に認めてもらえることの方が、こんなに幸せな気持ちになれるんだと初めて知った。
「アイツ、光姫ちゃんに夢中になりすぎて、時には周りが見えなくなって暴走するかもしれない」
「……はい」
「でも見捨てないでやって?アイツ、どうしたらいいか分からないだけだから。なんせ、恋愛初心者マークついてるから」
そう言いながら、藤堂さんは両手の人差し指で空中に若葉マークを書いて見せた。
「さっきのも、ちょっとした不安事があってどうすればいいのか分からなかっただけだから」
「不安事…って…?」
「それはオレの口からは言えない。夫婦の問題だから。光姫ちゃんからアイツに直接聞いてみてくれない?」
「アイツが自分で聞けりゃいいのになー…」なんてブツブツ言いながら、眉間にシワを寄せて藤堂さんが腕組みをした。

