旦那様は社長 *②巻*


「名前は佐倉敬吾」


「よかった。名前だけは本当なんだ?」


「当たり前だろ?なんでそこまで嘘つく必要があるんだよ」


「だって……」


「よっぽど信用なくしたみたいだな、オレ」


「……」


そりゃあ、あんな風に突然いなくなって、探し回っても何の手がかりもなくて。

唯一の手がかりだった会社にも『佐倉敬吾という人物は所属しておりませんが』と言われて。


信じられるものが何もなくなってしまった……
あの時の絶望感は今でもハッキリ覚えてる。


「光姫さ、日出物産って知ってる?」


「日出物産?

……ああ、何年か前に倒産したあの日出物産?けっこう大きくメディアでも取り沙汰されてたよね」

「そう。オレたちが結婚の話をちょうど進めていた時に話題になってた会社だよ」


「……で?その日出物産がどうかしたの?」