旦那様は社長 *②巻*





「……で?話って何?」


レストランで席に着くと同時に口を開くと、呆れたように敬吾が笑う。


「いきなりかよ」


「だって。時間ないのよ、分かってるでしょ?」


社長が戻ってくる前に、あたしはあのマンションに帰らなきゃいけない。


だから今日は、敬吾の話だけを聞いて早めに立ち去るつもりでいた。


「少しは再会を懐かしみたいけどね?オレは」


「あなたとはいい思い出なんてなかったと思うけど?」


皮肉たっぷりに尋ねるあたしに、敬吾は苦笑するしかなかった。


「えらく嫌われたもんだ……まあ、仕方ないか」


またあの表情ーー…
どこか傷ついたような。


どうして敬吾がそんな顔するの?


予めコース料理を頼んでいたらしく、食前酒と前菜が運ばれてきた。


あたしの食前酒は、ノンアルコールのものに変えられていたけど。


「じゃあ、オレたちの再会に」


グラスを持ち上げる敬吾に向かって、「あたしの幸せに」と言い直しながら、グラスを合わせた。