旦那様は社長 *②巻*


そう……

今日は接待で、いつもはあたしが同行していたけど、妊娠してから社長に『接待禁止令』が出された。


接待はお酒も入るし、勧められたお酒は断らないのがマナー。


でも、今のあたしはアルコールを摂取するわけにはいかないし、悪阻の症状も出始めたことで、社長が私ではなく藤堂さんを同行させることに決めた。


だから、今晩社長の帰宅時間は遅い。だからあたしは1人で夕食をとることになる。


敬吾はそのことを知っていて、敢えて今日を指定してきたんだろう。


「悪阻もあるから、あまり外に出たくはないの。だから……無理……」


本当は、まだそこまでひどくない悪阻。

外食しようと思えば、できなくはない。


だけど、社長の知らないところで他の男と食事するなんて……ましてや、相手は元婚約者。


ただの同僚として、食事をするのとは何か違う。


それに、自分の中でも葛藤があった。


終わったことを今更聞く必要なんてないと言う自分と、真実を知りたいと思う自分がいる。