恥ずかしい。

……穴があったら入りたいとは、こういう時のことを言うのよね、きっと。

火照る顔を隠すように、両手で包み込んだ。


そんなあたしを完全に無視して、2人の会話はまだ続いていて。


「慎也、お前光姫に変なマネしたらナイアガラの滝でバンジージャンプだからな」


「バカ言え。いくら光姫ちゃんがオレ好みの“ボディー”でもな、命のが大事なんだよ、オレは!!」



…ーーーこれがまともな会話に思えないのは……あたしだけだろうか?


藤堂さんが“ボディー”を強調したところで、この2人がどうして気が合うのか理解できた気がする。


「はあー…」

自然と溜め息が出て、体中の力が一気に抜けた。


その時ーーーー……


「あっ、言い忘れてた。オレの秘書も今回連れて来てんだよ」


「お前の?」


そりゃあ、いくら支社でも“副社長”なら、秘書がいたって不思議じゃない。


女性秘書なら、色々むこうの話も聞けるかもしれない……
どこか心の中で、そんな期待をしてた。