「いくら周囲に内緒っつっても、悪阻なんて隠しきれねぇだろ?それにいつも気張ってばっかじゃ、お前の体にも悪い。
……だから、信用できるヤツに最初から事情を話しておいて、お前がいつでも頼れるようにしたってわけ」
社長は「いい考えだろ?」なんて言いながら笑った。
「じゃあ……全部あたしのため?」
あたしは再び視線を藤堂さんに戻すと、それに気づいた藤堂さんがニヤリと笑う。
「悠河はさぁ、心配でたまらないんだよ、光姫ちゃんのことが。だから今だって……
オレの目の前だっていうのに光姫ちゃんのことお膝抱っこしてるでしょ?」
「……へ?」
藤堂さんがなぜか下を指さしていて。
その指の先を目で辿るとーーー……
「あっ!!」
自分が置かれている状況を思い出した。
「えっと、これは……」
廻された社長の手をグイグイ押しやろうとするけど。
「じっとしてろ!!」
……一喝されてしまった。
まるで空気の抜けた風船のように、シューっと自分の体が縮こまるのが分かった。
…ーーー社長のお膝の上で。

