旦那様は社長 *②巻*



「ああ……まずオレのこと簡単に話しとくね?
突然来た得体の知れない男が、社長の第2秘書を務めるだなんて……
光姫ちゃんも納得いかないだろ?」


そう言うと、藤堂さんは「よいしょ」と口にしながら、社長室中央に位置するレザーソファーに腰を下ろした。


「オレね、これでもニューヨーク支社の副社長なんだよ」


「えっ、うそっ!?」


信じられない!!という気持ちが、素直に言葉となって表れる。


こんなこと言ったら失礼かもしれないけど。

見た目も軽そうだし……さっきの社長の“南の島で女遊び”発言を聞くと、ホストかな?

……なんて勝手に思っていた。


まさか、副社長だなんてーーー…


「光姫ちゃん、軽くへこむわぁ……オレってそんなに威厳ない?」


少し涙を浮かべながらあたしに訴える藤堂さんは、まったく威厳の欠片もない。

まるでガラスの少年のようにも見える。


「お前に威厳なんて一生無理だよ」


はんっと吐き捨てるように発された社長の言葉に、あたしも思わず頷く。


「ひでぇな、お前も。
……いいよ、全部洗いざらい喋ってやるから。あのね?光姫ちゃん。

どうしてオレがわざわざニューヨーク支社から本社に呼び戻されたのかって言うとさ……」