「ああ……まずオレのこと簡単に話しとくね?
突然来た得体の知れない男が、社長の第2秘書を務めるだなんて……
光姫ちゃんも納得いかないだろ?」
そう言うと、藤堂さんは「よいしょ」と口にしながら、社長室中央に位置するレザーソファーに腰を下ろした。
「オレね、これでもニューヨーク支社の副社長なんだよ」
「えっ、うそっ!?」
信じられない!!という気持ちが、素直に言葉となって表れる。
こんなこと言ったら失礼かもしれないけど。
見た目も軽そうだし……さっきの社長の“南の島で女遊び”発言を聞くと、ホストかな?
……なんて勝手に思っていた。
まさか、副社長だなんてーーー…
「光姫ちゃん、軽くへこむわぁ……オレってそんなに威厳ない?」
少し涙を浮かべながらあたしに訴える藤堂さんは、まったく威厳の欠片もない。
まるでガラスの少年のようにも見える。
「お前に威厳なんて一生無理だよ」
はんっと吐き捨てるように発された社長の言葉に、あたしも思わず頷く。
「ひでぇな、お前も。
……いいよ、全部洗いざらい喋ってやるから。あのね?光姫ちゃん。
どうしてオレがわざわざニューヨーク支社から本社に呼び戻されたのかって言うとさ……」

