「あのぉ……あなたは一体?」
いつまで経っても誰も納得のいく回答をくれない。
あたしは思い切って直球を投げた。
「ああ、こいつはオレの幼馴染で藤堂慎也。今度からオレの専属秘書をしてもらう」
「え?」
……今、専属秘書って言わなかった?
社長の専属秘書は今、あたし1人のはずーー…
「あ、あたしがいるのに……どうして?」
もしかして、あたしはもう要らないってこと?
そんな不安が頭をよぎった。
「ああ、言葉が悪かったな。慎也はオレの第2秘書にするつもりだ」
「第2秘書?」
ますます意味が分からなかった。
だって、今あたし1人で秘書の仕事は事足りてるはず。
それなのに……なんで?
相変わらず歪んだ顔で社長をジッと見つめていると。
「お前、素直に言やぁいいのに。あのね、光姫ちゃん」
「おいっ!余計なことは言うなよ」
社長が藤堂さんの言葉を遮ろうと必死になっているのを見て、あたしは“何かある”……そう確信した。
だからーーーー……
「藤堂さん、続けて下さい」
「光姫!!」
社長の声なんて無視して、真っ直ぐ藤堂さんを見つめた。

