旦那様は社長 *②巻*



「あのぉ……あなたは一体?」


いつまで経っても誰も納得のいく回答をくれない。


あたしは思い切って直球を投げた。


「ああ、こいつはオレの幼馴染で藤堂慎也。今度からオレの専属秘書をしてもらう」


「え?」


……今、専属秘書って言わなかった?

社長の専属秘書は今、あたし1人のはずーー…


「あ、あたしがいるのに……どうして?」


もしかして、あたしはもう要らないってこと?

そんな不安が頭をよぎった。


「ああ、言葉が悪かったな。慎也はオレの第2秘書にするつもりだ」


「第2秘書?」


ますます意味が分からなかった。

だって、今あたし1人で秘書の仕事は事足りてるはず。

それなのに……なんで?


相変わらず歪んだ顔で社長をジッと見つめていると。


「お前、素直に言やぁいいのに。あのね、光姫ちゃん」


「おいっ!余計なことは言うなよ」


社長が藤堂さんの言葉を遮ろうと必死になっているのを見て、あたしは“何かある”……そう確信した。


だからーーーー……


「藤堂さん、続けて下さい」


「光姫!!」


社長の声なんて無視して、真っ直ぐ藤堂さんを見つめた。