旦那様は社長 *②巻*



「お前も変わんねぇな、悠河。いつも突然呼び出しやがって。世界はお前中心に回ってんじゃねんだぞ?」


「うるせぇよ。どうせ女と南の島で遊んでたんじゃねぇの?」


「はっ、違いねぇ!!せっかくこれからお楽しみって時にお前の電話だよ……お前はオレの疫病神か?」


な、何なの?この人。

やけに社長と親しそうだけどーーー……


目の前で繰り広げられる会話を、あたしはただ黙って目で追っていた。


社長に向かってタメ口をきいてる人に初めて会ったし……社長もそれを気にしていないみたいだし……この人……誰?


いくら頭をフル回転に働かせても、答えは分からなくて。

あたしの顔は自然と歪む。


そんなあたしに気づいたのか、正体不明の彼とバチッと目が合い……


「あっ、この子がお前の最愛の光姫ちゃん?えらいべっぴんさんやなぁ?」

瞳をキラキラ輝かせながら、あたしに顔を近づけてニッコリ微笑む彼に、ピクンと体が震えた。


「おい、近いんだよ、離れろ!!……お前、光姫に手ぇ出すんじゃねぇぞ?」


あたしの体を自分の胸に強く押し付けながら、まるでヤクザのような形相で、社長は彼を睨みつける。


……いや、ヤクザよりも敵に回すと厄介な男かもしれない。


「悠河……お前、光姫ちゃんにマジ惚れ……っつぅか、だせぇ!!社長のくせに余裕ねぇし!!」


ギャハハと、せっかくのキレイな顔をグシャグシャにして笑う彼。


「……社長は関係ねぇだろ」


ボソッと呟く社長は、すっかり顔を赤くしていて……完全に彼に負けている。


すごいーーー……


あたし以外の人に、こんな顔を見せたのはきっと彼が初めて。

……あたしが知る限りでは。


ますますあたしの中の疑問が大きくなる。


一体彼ってーーー……