「お前も変わんねぇな、悠河。いつも突然呼び出しやがって。世界はお前中心に回ってんじゃねんだぞ?」
「うるせぇよ。どうせ女と南の島で遊んでたんじゃねぇの?」
「はっ、違いねぇ!!せっかくこれからお楽しみって時にお前の電話だよ……お前はオレの疫病神か?」
な、何なの?この人。
やけに社長と親しそうだけどーーー……
目の前で繰り広げられる会話を、あたしはただ黙って目で追っていた。
社長に向かってタメ口をきいてる人に初めて会ったし……社長もそれを気にしていないみたいだし……この人……誰?
いくら頭をフル回転に働かせても、答えは分からなくて。
あたしの顔は自然と歪む。
そんなあたしに気づいたのか、正体不明の彼とバチッと目が合い……
「あっ、この子がお前の最愛の光姫ちゃん?えらいべっぴんさんやなぁ?」
瞳をキラキラ輝かせながら、あたしに顔を近づけてニッコリ微笑む彼に、ピクンと体が震えた。
「おい、近いんだよ、離れろ!!……お前、光姫に手ぇ出すんじゃねぇぞ?」
あたしの体を自分の胸に強く押し付けながら、まるでヤクザのような形相で、社長は彼を睨みつける。
……いや、ヤクザよりも敵に回すと厄介な男かもしれない。
「悠河……お前、光姫ちゃんにマジ惚れ……っつぅか、だせぇ!!社長のくせに余裕ねぇし!!」
ギャハハと、せっかくのキレイな顔をグシャグシャにして笑う彼。
「……社長は関係ねぇだろ」
ボソッと呟く社長は、すっかり顔を赤くしていて……完全に彼に負けている。
すごいーーー……
あたし以外の人に、こんな顔を見せたのはきっと彼が初めて。
……あたしが知る限りでは。
ますますあたしの中の疑問が大きくなる。
一体彼ってーーー……

