今のこの状況を誰かに見られでもしたらーー…
あたしだけがあたふたしていて、社長はいつものように平然と仕事をしている。
仕事をーーー……
「……って、あたしも仕事が!!」
その時、タイミングよくドアのノック音が響く。
ーーコンコン
あたしが慌てて立ち上がろうとすると、社長に腕をグッと掴まれ、それを阻止されてしまった。
「しゃ、社長っ!?」
コソッと社長の耳元で囁くと。
「入れ」
「えっ!?」
…ーーこの状況で?!
社長が顔色1つ変えることなく、ノックした主に入室を許可する。
ーーガチャ
社長室の重い扉が開かれ、中に入ってきた男性を見てあたしはハッとした。
長身に、まるでモデルのようにスレンダーな体と、少し日焼けした整った顔。
コツコツと靴音を響かせながら、ゆっくりこちらへ近づいてくる。
……誰?
今日は来客の予定はないはずだけどーーー……
隣の社長に視線を移すと、なぜか微笑を浮かべていて……彼が誰だか知っているようだった。
「早かったな。まぁ、昔からお前は約束の15分前集合が当たり前だったもんな?」

