旦那様は社長 *②巻*

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「あの……社長?」


「ん?何?」


……何?じゃなくてさ。


朝の9時。

いつもと同じ社長室の風景。

カタカタとパソコンに向かって数字とにらめっこしている社長の側には、綴じられた紙の資料が山のように重ねられている。


…ーー昨日、あたしが帰宅前に整理したのに。

昨日は1つしかなかった資料の山が、今朝は2つになってる。


最近は、毎日深夜に帰宅することが多くなった社長。


眠っているあたしにキスをすると、いつもそのままベッドに倒れ込むように眠りの世界へ旅立ってしまう。


……そんな社長に布団を被せ、しばらくその寝顔を眺めるのが、最近のあたしの日課になってしまった。


いつもあたしが先に起きると、一度は目覚めて「おはよう」とキスをするのに、ここ数日はあたしが立てる物音にも気づかずに眠っている。


…ーーよっぽど疲れているんだよね。


あたしの体調よりも、社長の体の方があたしは心配でたまらない……今日この頃。


しかしーーーー……


「ねぇ、あたし……邪魔じゃない?絶対邪魔でしょ?」


「んー…?いや、気にすんな」


「気にすんなって……」


…ーー気にするでしょ、普通は。