「オレに似たら、女を喜ばせる天才になれる」


「……あっそ」


冷めた目で社長を見つめるあたし。


「お前だって、いっつも喜んでんじゃん」


「バカッ!!」


もう一度手を振りかざした瞬間ーー…


今度はガシッと、社長に腕を掴まれる。


「離してっ!この変態」


「変態?その変態に惚れたのはどこのどいつだよ?」


「惚れてない!!」


「悠河ぁ……って、ヤらしい声出すのは誰だ?」


「……っ、知らないっ」


「好きだなぁ、オレ。光姫のあの声。ああ……でも、しばらくお預けかぁ」


わざとらしく、肩をガックリ落として沈んで見せる社長。


「んもうっ、バカッ!」


こんな言い合いを、この後もしばらく続けていたあたしたち。


…ーー元通りになったかのように見えた2人。


でも同じ時ーー…




「何年ぶりの日本だよ……」


これから2人の関係を揺るがす人物が、日本に降り立っていたなんてーーーー……


「光姫……」


あたしを迎えに日本に戻ってきたなんてーーーー……