「隠してること?」
「……うん。あのね、あたしね……」
“妊娠したかも……”
そう言おうとしたと同時に、「コンコン」と病室のドアがノックされた。
「はい……どうぞ」
ーーガラッ
絶妙なタイミングで入ってきたのは、宮下先生だ。
「光姫ちゃん、調子はどう?」
「……はい。だいぶ落ち着きました」
社長とお互いの気持ちを伝え合って、今まで霧がかかったようにモヤモヤしていたあたしの心も、今は少しだけ明るい光が見えてきていた。
社長と和解できただけで、心だけじゃなく体まで軽くなった気がする。
……もしかしたら、夫婦仲がうまくいってなかったことが、最近の不調の原因だったのかも。
じゃあ、妊娠は……?
「まさか宮下先生と光姫が知り合いだったなんてな……お前の両親のこと、先生に聞いたよ」
「そう……」
別に隠していたわけじゃないんだけど。
……辛い過去だし、なかなか自分の口から話す気にはなれなくて。
「先生、光姫の具合はどうなんですか?この前から倒れてばかりで……今も顔色悪いし。
……どこか悪いんでしょうか?」

