旦那様は社長 *②巻*



「隠してること?」


「……うん。あのね、あたしね……」


“妊娠したかも……”


そう言おうとしたと同時に、「コンコン」と病室のドアがノックされた。


「はい……どうぞ」


ーーガラッ


絶妙なタイミングで入ってきたのは、宮下先生だ。


「光姫ちゃん、調子はどう?」


「……はい。だいぶ落ち着きました」


社長とお互いの気持ちを伝え合って、今まで霧がかかったようにモヤモヤしていたあたしの心も、今は少しだけ明るい光が見えてきていた。


社長と和解できただけで、心だけじゃなく体まで軽くなった気がする。


……もしかしたら、夫婦仲がうまくいってなかったことが、最近の不調の原因だったのかも。


じゃあ、妊娠は……?


「まさか宮下先生と光姫が知り合いだったなんてな……お前の両親のこと、先生に聞いたよ」


「そう……」


別に隠していたわけじゃないんだけど。


……辛い過去だし、なかなか自分の口から話す気にはなれなくて。


「先生、光姫の具合はどうなんですか?この前から倒れてばかりで……今も顔色悪いし。

……どこか悪いんでしょうか?」