「光姫?」
「あっ、ごめんなさい」
……しまった。
社長は何も事情を知らないのに……変に思ったかなーー。
「…何かあったのか?」
「ううん。何でもないよ?もうすぐご飯できるから…座ってて?」
「……ああ」
少し気まずそうに食卓につく社長の姿に、少し罪悪感を覚えた。
でも…ハッキリするまではーーー……
「………」
いつもなら自然と会話が飛び交う食卓に、今日はカチャカチャと食器の音が響くだけ。
「…ごちそうさま」
あたしより早く食事を終えた社長は、まるでこの場から逃げるようにリビングを出て行ってしまった。
「…やっぱり…変に思ったかな…」
最近は、体調が悪いことを理由に、夜の誘いを断ったりしているあたし。
……確かに体調はあんまりよくならないんだけど。
社長と結婚して、こんなに触れ合わない夜が続くなんて……
ハッキリ言って異常だと思う。
すぐあたしに触れたがる社長が、大人しくあたしの言うことを聞いてくれているのは……間違いなく、あたしの体を気遣ってのこと。
……それも分かってる。

