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あれから……あたしが退院してから、もう2週間が経過していた。
社長の目を盗んで、何度も佐伯先生に連絡しようとしたけど……
真実を知るのが怖くて、携帯のリダイヤルボタンを押しては電源ボタンを押して……その繰り返しだった。
分かってる……いつまでもこのままじゃダメだって。
逃げても状況は何も変わりはしないんだって。
「今度こそ……」
覚悟を決めて、携帯を開いた瞬間ーー…
「光姫?何やってんだよ……電気もつけないで」
せっかく覚悟を決めたのに、またしても機会を失ってしまったあたし。
慌てて携帯を閉じると、何事もなかったように社長に話しかけた。
「お帰りなさい。今日は早かったのね?」
ソファーから立ち上がり、携帯をエプロンのポケットに仕舞いながら、社長の前を足早に通り過ぎてキッチンに向かう。
「ああ…。思ったより会議が早くまとまってな」
バサッとジャケットがソファーに放り投げられた音を背中で聞きながら、あたしは熱したフライパンにハンバーグをのせていった。
「今日ね?ハンバーグにしてみたの。悠河好きでしょ?もう少しでできるから待って……っ!?」
え…な、何ーー…?
社長がいつの間にかあたしの後に立って、あたしのカラダを抱きしめてる。
髪の毛にキスをしながら、前に回された手がゆっくり上に上がってきて……胸に置かれた時。
「…っ、いやっ……」
勢いよく振り返り、社長の胸をドンと強く押し返していた。
「あっ……」

