旦那様は社長 *②巻*


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あれから……あたしが退院してから、もう2週間が経過していた。


社長の目を盗んで、何度も佐伯先生に連絡しようとしたけど……


真実を知るのが怖くて、携帯のリダイヤルボタンを押しては電源ボタンを押して……その繰り返しだった。


分かってる……いつまでもこのままじゃダメだって。


逃げても状況は何も変わりはしないんだって。


「今度こそ……」


覚悟を決めて、携帯を開いた瞬間ーー…


「光姫?何やってんだよ……電気もつけないで」


せっかく覚悟を決めたのに、またしても機会を失ってしまったあたし。


慌てて携帯を閉じると、何事もなかったように社長に話しかけた。


「お帰りなさい。今日は早かったのね?」


ソファーから立ち上がり、携帯をエプロンのポケットに仕舞いながら、社長の前を足早に通り過ぎてキッチンに向かう。


「ああ…。思ったより会議が早くまとまってな」


バサッとジャケットがソファーに放り投げられた音を背中で聞きながら、あたしは熱したフライパンにハンバーグをのせていった。


「今日ね?ハンバーグにしてみたの。悠河好きでしょ?もう少しでできるから待って……っ!?」


え…な、何ーー…?


社長がいつの間にかあたしの後に立って、あたしのカラダを抱きしめてる。


髪の毛にキスをしながら、前に回された手がゆっくり上に上がってきて……胸に置かれた時。


「…っ、いやっ……」


勢いよく振り返り、社長の胸をドンと強く押し返していた。


「あっ……」