「ねえー悪い点って具体的に何点ぐらいかな?」
「あんたまだそんなこと言ってんの?
そんなこと言う前に単語の一つも覚えなさいよ」
百合様のお小言があたしに飛ぶ。
「だってさー…」
「朝からそれしか言ってないじゃん」
「もう放課後だよー」
瀬奈と有美も若干呆れている。
だってさ。
やっぱり何点くらいからか気になるじゃん。
あたしはそのボーダーラインぎりぎりを狙うしかないんだから。
「ハル、がんばろ!!
あたしも補習とか嫌だしさ!!」
瀬奈が拳を握りしめて力説する。
瀬奈が赤点ハンターなのは名が知れている。
でもその瀬奈ですら中間テストはあたしよりも点数を取っていた。
「でもー、槻嶋先生の補習なら受けたくなーい?」
イケメン大好き有美が補習に興味を示す。
「もしかしたらなにかあるかもしれないよー?」
そんな有美の言葉にあたし以外の三人は顔を緩めて妄想を繰り広げる。
「……」
やってられない。
しかも槻嶋には前科があるから、そういうのってほんとに笑えない。
「そう考えたら補習もいいかも…」
瀬奈はそっとつぶやく。
「なに考えてんの!!
部活出られなくなるよ!!」
「あーそっか…。
槻嶋先生ごめんね」
空想の中の槻嶋に瀬奈は謝って勉強を再開した。
全く、なんだかなあ。
