「―そういうわけで、明日から期末テスト二週間前になるから部活禁止な。
テスト範囲も発表されるからちゃんと確認しておけよー。
よし、今日はこれで終わり」


日直号令ーと言う慎ちゃんの言葉にさよならの挨拶をしてから、クラスメートは個々に放課後の活動に繰り出し始めた。



「…またやってきた、この時期が」

嫌そうにつぶやくあたしに、この間の席替えであたしの前の席になった祐輔が後ろに振り向く。


「篠塚にしてみればなんてことないだろ、英語以外は」


表情も変えずにぬけぬけと。



「いいよねー、頭良い人はさ!!」


学年1の頭脳を誇る祐輔にしてみれば期末テストなんて問題でも何でもない。

こんなことを自分で言うのもおかしいけど、あたしだって英語さえなかったら…。


「英語がなきゃ篠塚がトップかもしれないだろ」


…英語がなきゃ、ね。


そういう祐輔の顔はニヤリとした笑顔を浮かべていて、どこか槻嶋を思い出させた。




槻嶋と言えば、ここ最近は何の音沙汰もない。

というか、言ってみれば中間テスト一件以来おとなしくしている。
車で送ってくれた日もなんだかんだと言い合いをしつつも、特にどうということもなかったし。




なので最近のあたしは、のびのびとした学校生活が送れている。


もちろん、油断は禁物だけど。