「ハル!!英語どうだった?」
百合が明日の残りの教科を手にして近寄ってきた。
「うーん…とりあえず百合に言われたヤマのとこは全部書けたよ」
もちろん、He thinks that なんちゃらって文も出てきてその問題は解くことができた。
「赤点はなさそう?」
「…たぶん」
「他の教科は?」
「いつも通りかなー」
今日は他に現代文と世界史のテストがあったんだけど、世界史は言わずもがな現代文も時間が余って見直しもできたしいつも通りって感じだった。
「はあー…あたしなんて世界史の年号ぶっ飛んじゃったわよ」
と言ってため息をつく百合さん。
ため息をつく姿さえも、男子を虜にしてしまうらしく席の近くにいた男子の目がフニャンとなっているのが確認できた。
いつもガミガミしてるから忘れちゃうけど、百合ちゃんはモテるんだったね。
「百合、あんたは罪な女だ」
百合の肩を軽くポンと叩くと、あたしは明日の受ける教科の教科書をカバンにしまいこんだ。
「は?いきなり何よ?…それよりも帰るの?」
「うん、今日あんまり寝てないから眠い。それじゃねー」
ばいばーいと言う百合の声を背中に受けて、あたしは教室をあとにした。
有美と瀬南にも挨拶をしようと振り返ったけど、彼女たちの姿は教室になかった。
