「ぷっ…はは…あははは!!」
槻嶋の笑い声が聞こえて、あたしは顔が赤くなるのを感じた。
からかわれたんだ。
「なんもしねーっての!!」
槻嶋は未だにお腹を抱えながら笑っている。
ほんとに!!
槻嶋のやつ、まじでありえない!!
でも、何かされるんじゃないかって身構えてた自分も恥ずかしい!!
なんか期待してたみたいじゃんか!!
もちろん期待なんてこれっぽっちもしてないけど。
あたしの顔からは、怒りと恥ずかしさとで湯気が出てるんじゃないかと言うほど熱気が感じられる。
階数のランプが点滅してエレベーターが到着を知らせた。
「あっ!!ちょっと待て!」
槻嶋の声を背に受けながら、扉が開くとと同時にあたしはエレベーターから飛び出した。
そして、つきあたりにあるあたしの部屋まで、ダッシュで駆け抜ける。
ほんと、最悪。
カバンから鍵を取り出して差し込もうとすると、横からゴツゴツした手が伸びてきてあたしの部屋のドアノブを掴んだ。
「待てって言ってんだろ」
「何よ!!離して変態!!」
ギャーギャー騒いで、ドアノブを回そうとガチャガチャしてみる。
もちろん開かない。
「だから、何もしないっての」
つか、迷惑だから黙れと槻嶋に言われて仕方なくあたしは黙る。
けど、念のために距離は置く。
