「んー…」
景斗を突っついてた指が、景斗がモゾモゾ動いたおかげでブスっと布団の中に埋まる。
それに違和感を感じたのか、景斗の閉じられた目が少しずつ開かれる。
「…ん…え!?悠!?」
その瞳があたしを映した途端、ほんの少し前までわずかにしか開かれていなかった景斗の目が大げさと言っていいほど、開かれた。
「え!?…あれ、今…って13時過ぎてんじゃん!!??」
ガバっとベッドから起き上がる。
なんか、漫画にでもでてきそうな起き方だなあ。
「おはよう、景斗くん」
にっこりとあたしが景斗に笑いかけると、景斗の焦った顔がさらに焦りの色を浮かべる。
「悠ごめん!!ほんと…目覚ましかけておいたはずなんだけど…」
枕元の目覚ましに手をやって目覚まし時計を確認する景斗。
驚いた顔をしているところを見ると、どうやら目覚まし時計はかけ忘れていたみたいだ。
「まじ…俺から言い出したことなのに…」
シュンとした顔を見ると、なんかかわいそうにも思えてくる。
「いいよ、今日はこれも麻子さんにもらってるし」
そう言って、テーブルの上に置かれたケーキを指差す。
「あ…、でも…」
「もう別にいいって!!じゃあ今度もう一個ここのケーキ買ってくれるんなら許す」
まだ何かを言いかける景斗に、あたしがこう言うと景斗はようやく納得したようだった。
