「こんにちはー」
次の日曜日。
あたしは花に囲まれたかわいい家の門を久しぶりにくぐった。
「久しぶりー!!元気だった?」
家の奥から出てきたのは、この家の住人のハツラツとした美人だけど、どこか可愛らしい人。
麻子さん。
そう、景斗のお母さんだ。
「この通りピンピンですよー。
麻子さんも元気そうだね」
上がって上がって、という麻子さんの言葉に甘えてあたしは小さくお邪魔しますと呟いてから家の中に足を踏み入れた。
今日は景斗の家に遊びに、もといテスト勉強にきたのだ。
きっかけはこの間の景斗の言葉になったわけだけど。
麻子さんにも会いたかったし、予定もなかったし、この訪問が実現した。
「あれ、景斗が迎えに行ったんじゃないのか?」
リビングに通されると、ソファに腰を下ろしてテレビを見ていた景斗のお父さん、絢斗くん。
もう40代なのにおじさんらしさが全くない爽やかなイケメン。
「11時に迎えに来るって言ったのに来ないから携帯に電話したんだけど……」
景斗のやつ、なかなか出ないんだよねー。
待ってるうちに12時過ぎちゃったから直接家に行くことにしたってわけ。
