「別にって、悠に何かしてただろ!?」


景斗はあたしを背中に隠すように引っ張る。



「ただ、からかって遊んでただけだ」


槻嶋のひどく冷たい声があたしの心にしみる。



――ズキッ



心臓辺りに少しだけ痛みが走った。



………?



何だったんだろ、今の。



「からかって遊ぶ?ふざけんなよ」

「つーかお前はこいつの何?」


槻嶋も負けじと景斗につっかかってくる。



なんか…すごい展開になってきたな。


なんでこんなことになってるのー。



「…俺は、悠の…悠の……」


景斗はそのまま俯く。


そんな景斗と対照的に槻嶋は蔑んだように笑う。




「言えねーなら別に俺がこいつに何しようが勝手だろ?
ガキが口出ししてんじゃねーよ」



景斗の握っていた拳が微かに震えている。



「ま、いいや。じゃーな」


槻嶋はあたしたちに背を向けてドアノブに手をかけた。


そして、出て行くときにチラッとあたしの方を鋭い目で見ると出て行った。