気が付けば時間は10時を回っていた。
明日も学校だし、そろそろ景斗を起こして帰らせないとまずいよね。
片付けの手を休めて、ベッドで眠る景斗を起こそうと手を伸ばした時に玄関のチャイムが鳴った。
まさか、とは思うけど。
―ピンポーンピンポーン
鳴り止まないチャイムにあたしは景斗のそばを離れて玄関に向かう。
ドアの向こうに立っていたのは、やはり槻嶋脩平だった。
「…もう来ないでって言ったでしょ!?」
景斗を起こさないようになるべく小さな声で槻嶋に対応する。
「何でお前に指図を受けなきゃいけない?」
眉間にシワを寄せて槻嶋がこっちを睨む。
指図がどうのの前にあんたにはモラルとかないの?
「…自己中―」
「ああ?」
「どうせ用もないんでしょ?」
今日はほんとに困る。
景斗がいつ起きてくるのかもわからないのに。
「とにかく今日は帰っ」
「男がいるのか?」
言葉を遮られたことに苛立って槻嶋を見ると、目が景斗のローファーに向けられているのがわかった。
