「どうしたの?部活は?」
グランドの方まで駆け寄って、景斗の前に立つ。
グランドに目を向ければ、人がちらほらと見えるだけでほとんどの部員はもう引き上げた後みたいだった。
「先生の都合で今日は早く終わったんだ。
ちょっと待っててくんない?俺も一緒に帰る」
景斗はそう言うとあたしの返事も待たずに部室の方に走っていってしまった。
――――
――
「ごめん」
制服を軽く着崩した景斗がカバンを肩にかけてやってきて、頭をポンと触る。
「全然大丈夫だけど」
あたしは笑って、景斗の隣りに並ぶ。
「今日は何作っかなー?」
「え?いいよ、部活だってあったんだし」
今までにも何回か部活後に来てもらったことはあったんだけど、景斗はやっぱり疲れててご飯食べ終わると何時間か寝ちゃってるんだよね。
なんかそれってやっぱり悪い気がしちゃうし。
「俺のことなら気にすんなよ。
お袋も悠のこと心配してるからさ」
ニカっと笑うと足をスーパーのある方まで進める。
…いいのかな。
……。
あっ!!
「…じゃあ!今日はあたしが作る!!」
ピカーンとひらめいた考えにあたしは大声を出す。
大声を出したせいで道を行く人の視線があたしたち二人に集まって少し恥ずかしい。
