プリントをまとめる音とホチキスを止める音だけが部屋に響き渡る。


背中には槻嶋からの視線を感じる。


ていうか、こいつには手伝う気とかないわけ!?


二人でやるんじゃなかったの?二人で!!



いくら一緒にやるのが嫌だとは言っても、どうせ同じ空間にいるなら手伝ってほしいと思うのが普通だろう。




まあ、手伝う気なんかさらさらないって態度だけどね。




ふう…。



ため息を気づかれないように漏らすと手のスピードを上げる。




早く終わらせて家に帰ろう。




一刻も早くこの部屋を出たい。


半分をきったプリントの山にほんの少しだけやる気が出てきた。






――――
―――




最後のプリントをホチキスで止めて、デスクの上のプリントの山に重ねる。


やっと帰れる。


壁にかかっている時計に目をやるとすでに5時半を回っていた。



まじですかー…。



まあ今日は景斗も部活だし急いで帰る必要はないからいいんだけど。




「終わったんで帰りま…」


胸の辺りをもぞもぞと何かが這う感覚を覚えて自分の胸元を見る。


「お前まな板だな」


………。


「ギャー!!!」