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「おはよ。あれ、悠なんか眠そうだな」


朝、学校の昇降口で景斗にばったり会った。


「ああ、おはよー。ちょっと…寝れなくてさあ」


槻嶋と自分にムカつきすぎてね。


「なになに?もしかして寂しくて寝れなかったの?俺、泊まればよかった」

残念とでもいうように景斗はあたしに並んで歩き始めた。



「寂しいとかじゃないから」

そういえば気づいたら一人暮らし初日の不安みたいなやつはなくなってたことに気づく。

まあその理由が槻嶋とのことがあったから、っていうのは気に食わないんだけど。



「じゃーな」

景斗は隣りのクラスだからあたしと教室の前で分かれる。


教室に入ると真っ先に窓側の一番後ろというベストな位置をキープした自分の席に向かう。



「ハルおはよー。一人暮らし一日目どうだった?」

席に座ると同時に百合、有美、瀬南があたしの席までやってきた。



「あー…」

昨日のことをみんなに話すのはめんどうだし。
ましてやキスされたとか言ったら、3人が騒ぎ立てるのは目に見えてる。


ま、話さなくてもいっか。
これからあいつと関わる訳でもないんだし。


「まあまあだったよ?」


「まあまあって…他にもっと何かないの?」


他にって言われても…。


「…あ、景斗がオムライス作ってくれたよ」

槻嶋以外って言ったらこれしかないし…。