そこには、1人の女の子がいた。女というより女の子だった。

身長は菜美と変わらないくらいだが、顔が少し幼い。小さな口と鼻、少し茶色の混じったキレイな髪がおでこにハラリとかかり、その下にはキラキラした大きな目があった。

真由が“プリティー“なら、この女の子はまさに“キュート“といった感じだ。


「ちょっと、ひなぁ… どこ行ってたの!?」
真由が呆れた顔で言った。

「忘れ物取りに行ってたの…」
女の子はそう言いながらも視線は君哉に向けられたままだった。

「あっ…この子は“綾川 雛“(あやかわ ひな)。 君哉とは…昔付き合ったんだよ。」
菜美たちがシーンとしているので、真由が慌てて言った。

「ひな…なの??」
君哉は動揺して、らしくない口調だった。その証拠に君哉は慌てた顔して菜美たちに視線を送った

菜美はそんな君哉を見ていられなかった