おばあさんが話終えると、話の余韻でみな黙りこくってしまった。外もそれにこたえるように、木が揺れる音さえしなかった。

しかし、次の日。みんなすっかり元気になって朝食を食べていた。夜の間に恋の話、それぞれの思い出話を語り合ったりしていたのだ。


今日はピナイサーラの滝つぼに行くコトになっていた。

君哉たちは朝食を食べ終わるとすぐに荷物の準備をして、ガイドの人が出してくれたバスに乗り込んだ。

バスに揺られて1時間くらいすると、駐車場に着いた。目の前には川が続いていて、両側にマングローブの森が生い茂っている。ここからはカヌーで移動するらしい。

君哉は勇太とほか数人でカヌーに乗り、漕ぎ出した。

オールは思っていたより重く、一緒に乗っていた女子たちはすぐに音を上げた。

「おい、君哉サボってんじゃねーぞ!」
漕ぐ体力が残っているのが、君哉と勇太だけになってきた時勇太が笑いながら言った。

君哉が振り返ると、勇太はオールを置いてくつろいでいた。

「おい、お前漕げよ!」
君哉がそう言って勇太を叩こうと、身を乗り出したその時……

バッシャーンという大きな音と共にカヌーがひっくり返り君哉たちは投げ出され、辺りは爆笑の渦に巻かれた。

結局君哉たちはライフジャケットを着て、他の班のカヌーに掴まっていった。