「知らなかったのか?お前が戻ってくるまで自分もテニスを止めるとか言ってな。゛あの中゛でそんなコトをするやつはアイツしかいないだろう?」

君哉は心臓の鼓動に合わせて、汗がドッと吹き出るのを感じた

《そんな……あのバカ…》

「お前には失望したよ。まぁ、せいぜい県予選突破でも目指して頑張れよ」
そう言って男は立ち去っていった。


君哉は何も言えなかった。ただ悔しさだけが君哉の全てを支配していた。


菜美も何の言葉をかけることができず、這いつくばったままの君哉を見つめることしかできなかった




それから数分後、少し離れたところでは……

「良いのか大介。アイツ絶対誰だかわかってないぞ。まっ、結局お前もアイツがいないとつまらないわけか」

「来てたんですか…大瀧先輩…」
男は無感情に言った

「お前のほうが早かったケドな。さすがはNo.1。 あとはアイツ次第だな……頑張れよ…君哉」