それから数日間、君哉は食事にも姿を現さなくなった。菜美はあんなことを言ってしまっただけに、心配だった。

しかも勇太も君哉の姿を全く見ていないという。

「や…やっぱり私のせいだよね……どうしょう!!!しかも行方不明だなんて……」
最近日課になってしまった、食事の後勇太と寮に帰る途中で菜美が言った。

「自分でやっといて何言ってるの(笑)でも珍しいよね~菜美が男子に関わるなんて。」
瞳が菜美をつつきながら言った。

「大丈夫だよ。アイツ何かあるとすぐ行方不明になる習性なんだから。まぁ、この寮で誰にも見つからずに生活してるのは尊敬するケド(笑)」
勇太がなんてことないという顔で言った。
瞳は笑ったが、菜美は笑わなかった。君哉がどうしてもテニスに関わろうとしないのは他にも理由があるような気がした。

その夜、菜美はシャワーの帰りにテニスコートに向かうことにした。
テニスをやっていた君哉の気持ちがわかるかもしれないとなんとなく思ったからだ。

するとほとんど真っ暗なテニスコートに打球音が響いていた。