「高橋さんすごいって! なんであんな順位とれるの!?」
拳を振り上げてはしゃぐ彼はまるで子どものようだった。
優しい色の髪までもが、楽しげに跳ねた。
「興奮しすぎだよ」
笑いながら言葉を返す。
「え、なんでそんなに冷静なの?嬉しくないの、9位だよ!?」
「嬉しいし、驚いてるよ」
これは本心である。
まさかここまでの結果が得られるとは思っていなかっただけに、喜びも大きい。
「いやいや、見えないから」
自分としては、かなり感情が昂っているのに、彼にはそう見えないらしい。
私はそんなに感情表現に乏しい人間なのだろうか。
自分の表情を偽りすぎて、自然に笑えなくなっているのだろうか。
そう考えて、少し肩を落とした。


