肩をすくめて微笑んだあと、私はゴールに向き直った。
私が立っているのはちょうど、スリーポイントラインの手前、ゴールに対して45度。
私がもっとも得意としていた位置からの3ポイントシュート。
久しぶりだからとか、そんな言葉で予防線を張るつもりはない。
なにも言わず、私は数回ドリブルをついてからボールを構えた。
ボールが手に吸いつく、革ならではのこの感覚。
この状態を保つために私はいつも、ボールを磨いているのだ。
柔らかく膝を使って、滑らかに肘を伸ばして。
入らないかもしれないなんて、そんな考えはなかった。
放ったボールは私が想像した軌跡を、一分も逸れることなく辿っていく。
そして、バックボードに当たって衝撃が吸収されたボールは、わずかな音を立てながらゴールネットをくぐり抜けた。
ボールが床で弾む音が、身体の中心に響いてきた。


