「仲間だって言ってほしかった。仲間だと見られたかった。線を引いて距離を置いてきたのは自分なのに、近づきたくて、認められたかったの」


自分が抱いている思いを、少しも違わず言葉にすることは難しい。

今も、思っていたことと口から出てきた言葉は違っているような気がしてならない。

けれど、感情はそんなに単純なものではないし、相反する感情がせめぎあうことだって当たり前にある。

真面目に考えるのはやめた。


「認められたいんですか? じゃあ俺が認めてあげますよ、仲間として」


返ってきた言葉はやけに軽かった。

けれど、続きがあることは明白だった。


「ただし」


そう言って彼は、私にボールを投げて寄越した。

反射的に受け取ると、それが驚くほど自分の手に馴染むことに気がついた。


「そこから一発でシュートが決められたら、ですけどね」


ボールを扱い慣れた手がうずきはじめた。

その力量を披露したくてたまらない、とでも言うかのように。