「で、マネージャーになったってことは高橋先輩が負けたんですか?」
「ううん。私が勝った」
「じゃあなんでですか」
疑問に思うのは当然だ。
「それが私にもわからないんだけど、どうしてだろうね、やろうって思ったの。賭けの結果は関係なく、マネージャーやろうって」
女子部だけのはずだったんだけど、と苦笑して付け加えた。
誤算は、あの桜井くんの奇襲だ。
「でも賭け自体には私が勝ったから、桜井くんに言うことをきいてもらう代わりに、条件をつけたの」
それは決してのめない条件ではなく、むしろ簡単すぎるほどのものだった。
「私が皇ヶ丘学園出身で、紅の魔女のメンバーだったことは、部員のみんなには言わないこと、それだけ」
その条件を、桜井くん、舞、須賀くんは、ずっと守りつづけていてくれた。
忘れていただけかもしれないけれど、それでも。


