夢みる蝶は遊飛する




「昨日、あの後・・・・」


桜井くんは話してくれた。


「亜美ちゃんが出ていってから、みんなどうしたらいいのかわからなくて。そんな中でいきなり、叫んだやつがいたんだよ」


“高橋先輩のなにを知ってるっていうんですか!”


「薄がいきなり、岡田に噛みついたんだ」

「薄くんが・・・?」


あの一件以来、私は彼とはあまり関わっていなかった。

彼は彼なりに過去に折り合いをつけようとしているのだから、私はそれ以上関わらないと。

そう思ってのことだった。


「高橋先輩が、なにもわからないただのマネージャーだって、本気で思ってるんですか、って」


上下関係がそれほど厳しくないとはいえ、先輩にそこまで盾突くことは簡単にはできないはずだ。

それなのに。