その日の部活は、桜井くんに言ったとおりに私は女子部でのみ活動をした。
時々、ためらいがちにこちらに来た一年生部員が、あの備品はどこにあるかだとか、こういうときはどうすればいいのかということを訊きにくる。
それに対してはわかりやすく答え、私の我が儘で迷惑をかけてしまっていることを誠意が伝わるように謝った。
この前まで中学生だった素直な彼らはそれでも、瞳を輝かせながら、先輩たちの役に立てることが嬉しいと言っていた。
いい部になりそうだ。
夢を成し遂げるだけの力を秘めたその背中は、やけにたくましく見えた。
部活が終わり、全員が部室に戻った後、体育館で私はひとり残って片づけをしていた。
ボールを倉庫にしまって、私も帰ろうと全体を見回すと、隅にひとつだけボールが残っていることに気がついた。
走ってそれを取りに行き、そのまま私はレイアップシュートを決めた。
私の膝は、サポーターが守ってくれている。
ボールがゴールネットをくぐる瞬間の音が好きだ。
そしてその後に揺れるネットは、勝利の鐘が鳴っているように見える。
そのとき、拍手が聞こえた。


